2011年8月31日水曜日

地域資源、そして毒蛇と向き合う。

スタッフ宮井より、ずいぶんご無沙汰の上勝学舎日記。ゆっくり日記も書け

ないぐらいに、8月後半は怒涛の上勝ライフを満喫しておりました。


まずは8月20日のご報告。

上勝町スーパー林道方面最奥地の集落、雄中面(おなかずら)集落の地域

資源調査に役場やカミカツーリストの方とともに同行させていただきました。


道無き道を進む調査隊員たち。山歩きブームの流行で、こうした難度の高

いルートの開発が観光客の誘致に重要だそうです。

難度は高くても安全第一!上勝町役場建設課の方たちのチェックの目が

道中そこしかしこに光ります。

そしてその目に映ったのは・・・・



出ました!毒をお持ちの蛇、ハブです。

地元集落の方が鎌首もたげて威嚇するハブにペットボトルの口を近づけると

スルスルと自分から入っていきます。なんとまぁ前向きな人生!

このあと空気穴を開けたのですが、穴が大きすぎて大変なことになりました。


まだまだ季節は行楽シーズン。湿気の多い山道はハブに気をつけましょう!

上勝学舎からのお知らせでした。

(宮井)

2011年8月29日月曜日

第2回上勝学講座「レジデント型研究講座」終了しました

8月26日に千年の森ふれあい館にて開催されました、第二回上勝学講座

「レジデント型研究講座」が無事終了しました。


アカデミックな香り漂うタイトルに、ひょっとしたら参加者が少ないかも・・・

とスタッフ一同心配していたのですが、13名の方にお越しいただき、アット

ホームな雰囲気で講座が行われました。


今回の講師は一見して強面の鎌田先生。じつは笑顔が素敵!

鎌田先生は生態学がご専門ですが、マネジメント論など異分野の手法から

生態系保全に迫っています。今回も文系理系にとらわれない広い視点から

レジデント型拠点に関してご説明いただき、とても分かりやすい講座でした。


講座後半は、講座コーディネーターの澤田氏(徳島大学客員教授)による

講座の成果に関するワークショップが行われました。

限られた時間の中で、「学び」と「気付き」についてテキパキと整理していく

澤田さん。

難解なテーマでしたが、フロア参加者を即席コメンテーターに仕立てたり、

お二人の息の合った進行で参加者の理解と興味も深まった様子でした。


さて、全12回の上勝学講座は次回からシリーズ開催に入ります。

上勝の食と農の達人、『上勝マイスター』9人を講師にお迎えして、上勝

のアグリビジネスの最前線を徹底研究します!お楽しみに!!

http://www.cr.tokushima-u.ac.jp/kamikatsu/article/0019911.html

(宮井)

2011年8月23日火曜日

愛だ!上山棚田団へ入団? part2

やっとpart2を書きます。
もう伺ってから3週間も経ってしまいました・・・。
前回のpart1はこちら

今回は棚田や地域活性化に関することを書こうと思います。
ここは幾重にも重なった棚田を一望できるビューポイントです。
棚田の右中央と一番下の棚田は耕作されていますが、他は休耕田になっています。

右中央は地域の方(おじいちゃんだったかな?おばあちゃんだったかな?)が作られています。
下は農機具メーカーさんの社員研修で作られているそうです。
以前はこの棚田や木や竹に覆われて見えなくなってしまった棚田でも
稲穂が揺れていたんだな~と昔に思いをはせます。
昔は8300枚も棚田があった」 という説明を書いている立て看板もありました。
ん~想像ができないですね。


  

この棚田は上の写真の棚田から小さな尾根を回り込んだところにあります。
この棚田は稲が青々と茂っていますが、今回案内をしていただいた西口さんたちが
復田したそうです。

始めは大阪周辺の農業などに興味がある人たちが集まってきて、
ひたすら草刈をしていたそうです。
あるとき地元の方が「草ばっかり刈って何がしたいんや?」と声をかけてきてくださり、
「お米が作りたいんです!!」と言うと、「うちの田んぼでやるか」と貸してくださったそうです。
1年目はいろいろ指導していただきながらお米を作り、秋にはお世話になった方々をとれたお米で
おもてなししたそうです。
すると、「うちの田んぼでもやるか?」と声をかけていただいて、
お米を作る面積が増えていったそうです。
今ではお米を売るところまで活動が広がっています。すごいなあ~。


どんどん復田しても、まだまだ棚田はいっぱいあります。
そして、草ぼうぼうにしておくわけにもいかない・・・。
草刈はとても大変なので、手伝ってもらうのはヤギと牛たち!
その名も上山棚田牧場!!
休耕田に放牧して草を食べてもらっているそうです。
しっかり草刈してくれよ~。


今回はほんとうに短い時間だったので、お話を伺えていない部分や、
私が理解できていない部分がたくさんあります。
森林再生の活動やセグウェイで走ってみたり。
もっともっとたくさんの活動をされていて、私も全体像がまだ見えていません(笑)。
活動内容が幅広く、行動をおこし実行するスピードも想像以上で本当に驚きでした。

なぜここまでスピードある活動ができるのか。
私が感じたことは、参加者の熱い思い、賛同してくれる地域の方の協力、
市や県もサポートしてくれる状況、そして価値がないと思われていたものに価値を見出し、
それを活用や販売する術があること、そして何より地域の方々に信頼されていることでしょうか。
「上山棚田団」で検索すると紹介ページがたくさんでてきますが、
下記に挙げたところがわかりやすいかな?と思います。
特に動画つきのほうでは、棚田で稲作が行われていた昔の様子から、
荒れていた時の様子と復田が進んでいる現在の様子が紹介されているのでおすすめです!

お忙しいなか、上山を案内していただきおいしいご飯もごちそうになり、
ほうとうにありがとうございました!
そろそろおいしいものがたくさん収穫できるころなので、それも楽しみにまた伺います!


ホームページなど紹介ページ
http://ecollabo.net/modules/tinyd1/index.php?id=4

動画つき紹介ページ
http://blogs.itmedia.co.jp/ecobrand/2011/07/post-a1b8.html

2011年8月19日金曜日

第2回上勝学講座「レジデント型拠点のあり方と使い方」を開催します!!

ブログで紹介することをすっかり忘れていて、近々になってからのお知らせです。
ほんとうにごめんなさい・・・。

第1回「上勝晩茶」につづき、
第2回「「レジデント型拠点のあり方と使い方」を開催します!!
今回は徳島大学大学院の鎌田磨人教授に講師をしていただき、
地域の課題を住民の方、研究者、専門家が協力して解決していく方法について
お話をしていただきます。

前回の晩茶と比べると講座らしい(?)内容ですが、難しくはないですよ~。
レジデント型研究とは、研究者や専門家の人たちが地域をよくしたい!!と思って、
地域の課題研究をしたりその成果を生かして活性化していく・・・というような感じです。

私も詳しくはないので、これだ!とは言えないのですが、
上勝学舎がまさにレジデント型研究の拠点としての役割を持っています。
ひよっこながらも研究者としてここで活動させていただいていますし、
私の知識を上勝のみなさんが幸せになるようにどやって生かしていったらいいか・・・
と日々考えながら町をうろうろしています。

町内には、研究者や専門家の方も一緒になって課題解決に取り組んでいるところが
たくさんあります。
千年の森ふれあい館やゼロ・ウェイストアカデミー、環境とまちづくり、いろどり・・・などなど。

今回の講座で講師をしていただく鎌田先生も、高丸山の森づくり部会の会長をされており、
どの木をどこに植えたらいいか、ブナ林の植生調査(なにがどれだけ生えているのか調査)
などをされています。

みんなで協力して課題解決をしていく方法を教えてもらいながら考えてみましょう!!

(もり)

2011年8月9日火曜日

愛だ!上山棚田団へ入団? part1

8月3日に、岡山県美作市上山で活動されている上山棚田団のところへ、
視察にうかがわせていただきました!
早く書こうと思っていたのに、もう1週間が過ぎてしまいました…。ごめんなさい。

なぜ私がお話を聞いてみたい!と思ったか。
それは、twitterでフォローさせていただいている上山棚田再生事業副会長さんの
「棚田を守るには水路をまもらんとProject始動しますー」というツイートを見つけたから。
私が上勝で考えてみたい、やってみたい!と思っていることをもう始めているとは、
先を越された~!という思いと、おんなじこと考えている人おるんやなあといううれしさから、
さっそく視察させてくださいとメールさせていただきました。

6月に本を出版されていたので、さっそく本を購入してどんな活動をされているのか予習をして、
わくわくしながら伺わせていただきました。

まずはじめに案内していただいたのは、上山地区を一望できる高台です。
集落全体を通り越して市内の中心のほうまで見渡せます。見晴らし最高!!
雰囲気は上勝の樫原と似ているなと感じました。


 ここで、上山についていろんなお話を伺います。
人口は今は120人くらい。昔は800人が住んでいたそうです。
高齢化率ははっきりとわかりませんが、おそらく90%を超えている(!?)そうです。

田んぼも今は耕作できていない面積が多いですが、昔は8300枚も棚田があったそうです。
昔の写真が本に載っていますが、この棚田すべてに水が張られ稲穂が風に揺れていたら、
そりゃあ~きれいだろうなあ。
見てみたい!!

 さて、本題の水路のお話を伺います。
まずは水源になっているため池へ。
でっかいなあ~。
ため池の周りにある谷水などを、全部ここへ引いているそうです。
そういえば、上勝には小さなため池もないなあ。平地がないからでしょうか?

ため池の水口を開けると、この大きな用水路に流れてきた後、
2本の水路へと別れていきます。
なんと、その2つの水路へ水を分ける役割をしているのは、
水門でもなく、堰板でもなく・・・なんと水路の真ん中にどでんとあるこの石!
この石の位置を少し移動させるだけで、2本の水路へ流れる水量が変わるそうです。
なんとも驚き!
下流の人から「水がこんぞ~」と言われると、石の位置を微調整して水量を加減するそうです。
アナログだけど、昔から伝えられてきた技術、文化なんだなと感じます。

 そして末端の水路のほうへ行くと、今もまだ素掘りの水路が残っています!
手入れをするのはとても大変だと思いますが、いい味をだしています。
上勝町内でも水路はコンクリートやパイプに代わっているところが多いので、
素掘りは少ないか、ほとんどないのでは?

素掘りの水路は維持管理が大変です。
せっかく引いてきた用水が土地にしみこんだり、割れ目からもれてロスが多くなることや、
脇にある土が雨やシカなどの動物が歩くことで崩れ、水路を埋めてしまいます。
昔はどこも素掘りでしたが、水のロスを防ぎ維持管理が楽になるようにコンクリートで固めたり、
パイプに変わっています。
それ自体も悪いことではないですが、上勝では人工物に変えたところは、
前から田んぼにいた生き物がいなくなったり、減ったりしているようです。

田んぼは人の手が入っているので自然の状態ではありませんが、
人の営みに合った生き物は田んぼに集まってきたり、産卵したりしています。
逆に田んぼをやめてしまうことが自然破壊になっているのかな?と思いました。
人と自然、生き物のつながりは本当に繊細ですが、密接なものだと感じました。
人のためだけじゃなく、周りに住んでいる生き物のためにも田んぼを復活させなあかんなあ。

まだまだ上山の紹介をしたいのですが、長くなってきたのでpart2へ続けます。